大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(う)2613号 判決

被告人 磯野幸太郎 外二名

〔抄 録〕

所論(編注・刑量不当の主張)は、被告人礒野については理由がなく、被告人西條、同鏑木については理由がある。

(中略)職権をもって調査すると、原判決は、原審における訴訟費用を、被告人ら三名および原審共同被告人四名の連帯負担としているが、原審(すべて差戻前の第一審の)ものにおける訴訟費用である証人三〇名に支給した旅費、日当等のうち、証人野中春江ほか一九名に支給した分は、原判決が無罪とした公訴事実に関するものであって、なお、これらの費用が被告人らの責に基づいて生じたものとも認められない。してみると、これら無罪とされた事実に関して証人に支給した旅費、日当等の負担を命じた原判決は、刑事訴訟法一八一条の適用を誤ったもので、右訴訟手続の誤りは判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、原判決のうち、本案の裁判についての控訴が理由がある被告人西條、同鏑木の有罪部分は、いずれも破棄を免れない。

被告人礒野に対する訴訟費用の負担についても、原判決は訴訟手続を誤った点で、被告人西條、同鏑木と共通であるけれども、被告人礒野については、本案の裁判についての控訴がすべて理由がないから、刑事訴訟法一八五条後段の法意にのっとり原判決を破棄すべきか否かの問題が生ずる。

しかしながら、刑事訴訟法一八五条後段は、当初からその理由のないことを予測しながら敢て形式的に本案につき上訴の申立をすることによって、訴訟費用の裁判に対し独立して上訴を申し立てることができる結果を招来することを防止するため、本案の裁判と分離して訴訟費用の裁判のみを独立して上訴審の対象とすることを禁止した規定であると解すべきであり(最高裁判所昭和三一年一二月一三日第一小法廷判決、刑集一〇巻一二号一、六三三頁参照)、これに対し同法四〇一条は、共同被告人間の公平を確保するための規定であると解すべきところ、職権調査により原判決に前記のような違法があると認められる本件においては、共同被告人間の公平の見地から、同法一八五条後段の規定にかかわらず、同法四〇一条にのっとり、右違法は共同被告人に共通の破棄事由として、被告人礒野についても原判決のうち有罪部分を破棄するのが相当であると解する。

(綿引 石橋 藤野)

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